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2014年6月11日水曜日

【避難者住宅支援問題①】キビタキの会 院内集会―避難者の発言

6月9日、「キビタキの会(関東に住む原発事故避難者の団体)と、復興庁、内閣府、国交省との懇談会が開かれ、省庁関係者9名と、避難者、支援者が集まりました。

そこで聞かれた、避難者の切実な訴えを、掲載します(一部、個人情報がわかるところは編集しています)。
詳細を知れば知るほど、避難住宅の長期的な無償提供が、重要であること、また、1年で更新されることがどれだけ、生活に不安定さを与えるかが分かります。

5月28日に、平成28年3月までの応急仮設住宅の供与期間延長が発表されていますが、それだけではまったく、不十分です。提供期間の不足だけではなく、通知の不親切さも改善されなくてはなりません。

繰り返しになりますが、いま、改めて

・応急仮設住宅の「長期」の延長
・住み替えの許可
・新規受け入れの再開

が必要であることを実感します。

このことが、ひとりでも多くの人に伝わってほしいと思います。


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【原発から25~6キロ地点から関東に避難中の女性(40代)の方】

家族は、両親、娘の4人。娘は県外に進学していて、私と両親は福島県に住んでいた。
父は認知症になっていて、どこの避難所にいっても迷惑をかけるだろう、と思い、しかたなく、いったん、関東の親戚のところに避難した。

避難してから、父は認知症がすすんで、数か月後に自分のことも家族のことも認識できなくなってしまった。仕方なく、老人ホームに入ることになった。本当は、福島県に帰って老人ホームに・・・と思った。でも、施設は200~400人待ちと言われて、帰れない。
避難解除になってからは、福島県と、現在の避難先を行ったり来たりの生活になった。母は生まれも育ちも福島県。「帰りたい」一心だった。福島県内にアパートをみつけ、そこに連れて帰り、1人で生活していたが、ある日、孤独死してしまった。

娘は社会人になった。「解除したから帰りなさい」と言われているが、福島の地元ではさまざまな噂がある。最近の話題になる話は、町の雰囲気のこと。とても治安が悪いと。女性の夜の一人歩きはできない。
帰れば仕事はあるようだが、娘のことを考えると、不安がある。放射線だけではなく、治安の問題を考えると「帰ろう」という説得ができない。

事故直後、両親を親戚のところに預け、私は知人宅に避難したことによって、親戚との間にも溝ができた。現在、知人宅に3年も居候しているのも、申し訳ない。本当は娘と同居したいが、東京電力からの賠償はおととし8月で打ち切られているので、二人で住める目途はたたない。いま部屋をかりたくても、保証人もいないし、仕事もない。娘と一緒に暮らしたいだけなのに。
精神状態も不安定で、これまで、こういう場に出席できなかった。やっと体調も戻りつつあり、前向きに生活したいと思ってやっと出てきた。

私は、人様に迷惑をかけないように、かけないように、親戚や知人に頼って、きたが、それが裏目に出て、今になって本当に困っている。
お願いだから、助けてほしい。

国交省担当:「娘さんに部屋を借りてもらうのは無理?」

都営住宅に入っていたら、無料だったはず。いまから助けてほしいと思っている。

国交省担当:「私の管轄ではないが、生活保護ならある。住宅制度はないので申し訳ない」

本当はこんなことを言いたくないが、20キロ圏内は手厚い補償がいただけて、待遇がいい。私たちには何もない。この年になって、東京に住むとは思わなかった。母が孤独死をすることもなかった。

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【福島県浜通りから関東に避難中の女性(30代)の方】

私と主人と当時7か月の娘と、母と4人で生活していた。とりあえず、娘を守るために全員で、関東の兄の家にきた。だが、ずっとお世話になっているわけにもいかないので、公営住宅に2011年4月から入った。

大人3人の子ども1人で1LDKくらいの広さのところに入った。狭くて生活に支障がある、と当初から問い合わせをしていた。しかし、どこも、解決策を提示してくれなかった。「1人あたり1.5畳あればいい」とすら言われた。

冷蔵庫もキッチンに入れられなくて、普通の部屋に入れてある。
収納もなく、布団を入れられない。部屋の中に布団がたたんで置いてあって、窮屈な状態。その中で生活している。

もともと、震災のストレスがあるのに、部屋が狭いストレスもあり、母親は70歳を超えているが、1人で、福島県のほうに帰ってしまった。住みたい地域には、良い部屋はあまっていなくて、母の部屋は、学生向けのユニットバスの4畳半一間の部屋になってしまった。

復興住宅の応募もしたが、前回も今回も外れてしまった。ポイント制で、ポイントの高い順に入居できるシステムになっている。避難指示区域内の人が優先的に入るから、母のように、賃貸を借りた状態で応募していると、最初にはじかれてしまう。今回も落ちると思う。しかも、「三回目はもうない」と言われた。

三回目がないということは、今の住みたくない住居に、住み続けろということになる。もともと、母とは一緒に住んでいたからもう一度、一緒に住みたいけれど、原発事故が収束していないから、子どもを連れて福島県に戻れない。
逆に、こちらに呼ぶといっても部屋が狭くて呼べない。どうしていいのかわからない状態。

70を過ぎた母を放っておけない。
先が見えなくて不安を感じるので、一年ごとではなく、長期的に、具体的に延長期間を言ってほしい。私だけではなく、たくさんの人が部屋の間取りで困っていると思う。一度だけでもいいので、住み替えの相談窓口を開いてもらって、要望に応えられるのであれば、お話を聞いてほしい。
3年で状況が変わっている人もいるし、相談にのってほしい。

内閣府担当:それぞれ事情が違うということがわかった。お住まいの自治体の公営住宅がどういう状況なのか把握していないが、どうしても入居したいのは、避難者だけではないというところもある。その中で限られた公営住宅の活用を各都道府県で考えている。

期間については、応急仮設住宅ではなく、「本当の自分の家(と言えるべき場所)」に早く住んでもらいたい。
せめぎあいの中で、応急仮設ではなく本来の住宅に住んでいく努力―――災害救助法で長く、ということではなく、どういう風に確保していくのが大事かな、と思う。


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【福島県から娘と関東に避難中の女性(30代)の方

いまの都営住宅は6か所目の避難。娘は原発当初10か月。
私の住んでいた場所は、原発から45キロだった。「30キロ圏内は避難してください、ただちに影響ありません」と言われていた。
でも、30キロと45キロは壁があるわけではない。「どこが安全なんだろう」と思った。もう危ないから逃げないと、と思い、主人と一緒に福島を出た。

子どもは選択することができない。その選択をするのは親。「子どもを守りたい」という気持ちだけで、避難生活を、続けている。 まずは子どもの健康が第一だと思っている。

まだ、福島県は帰ろうと思える環境ではない。今でもメディアの報道を聞くと、「実はこうでした」というような後出し情報がある。そこに、小さな子どもを帰って子どもが健康に育てるのか、ということに疑問がある。

本当は福島に帰りたい気持ちは強いけれど、安全な環境で子育てをしたい、という思いのほうがより、強い。住宅の無償で長期的な提供というのは、避難者にとって、とても大きな問題。

我が家の場合、主人が福島県に残って二重生活をしているので、家賃を払い、生活費を引いたら、給料はなくなってしまう。高速料金は無料だけど、ガソリン代がかかる。水光熱費は二重にかかっているし、食事も男性一人暮らしだと、自炊できなくて、買ってくるので、割高になる。いまは貯金を切り崩して生活をしている。

一時、私もアルバイトをしていたけれど、負担がかかり、続けるのが難しくなってしまった。
貯金を切り崩していて、避難生活は、あと8か月が限界。そのあと、どうしていこうかなと思っている。そこで、住宅も打ち切られ、出ていきなさい、と言われても、どうしようもない。
東京は、主人と行き来ができるから選んだが、本当はもっと遠くに行きたい。東京は家賃がすごく高い。住宅が打ち切られたら、「帰る」という選択をしなくてはならない。

この際、主人は、20年近く続けた仕事をやめようか、と考えている。家族の話し合いをしながら、いま避難生活を続けている。

いつも、疑問に思うことがある。復興公営住宅をどうして福島県に建てているのか。
福島県は安全じゃないかもしれない福島県に、あえて戻そうとするのか。
もう一つは、「福島県と相談して」という言葉。住宅の延長についてもそうだが、福島県と各自治体と相談して、と言っているけれど、本来、これは国の問題だと思う。

どうして国から「こうしましょう」という方針を出してくれないのか。災害救助法で、延長に対しては1年ずつということが決まっているのは聞いている。ただ、方針を出すことは可能だということは聞いている。
「じゃあこうしていきましょう」「必要な人にはこれをしていきましょう」と、どうしてならないのか。

新規の受け入れも、平成24年12月で打ち切られているが、このような区切りをつけてしまったら新たに出てくる問題も大きい。


例えば、これから先、「今出たい」「やっぱりもう一度出たい」と思う人もいるかもしれないが、制度がないから出られなくなってしまう。
「避難をしたい」という思いを持っている人は、制度がないと、思い切って出られないと思うので、それをふまえて、どうか、より安全に安心に避難できるしくみを出してほしいと思う。


(キビタキの会 院内集会(2)に続く)

ママレボ@伊藤

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