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2014年11月18日火曜日

柏市測定レポート ―はかる、知る、柏―

柏の葉公園を測定する

2014年10月、柏市の周辺を、尾内隆之さん(流通経済大学准教授)に案内していただき、幼児や小学生など、子どもたちがよく散歩をしている公園、川沿いの道路を歩いてホットスポットファインダーで測定しました。

まず向かったのは、柏の葉公園。県立公園で、とても広く、施設も充実しています。芝生広場、樹木林や花壇、体育館、野球場、庭球場のほか、日本庭園や茶室まであります。その日も、幼稚園児と思われる団体が、芝生広場ではシートを広げてお弁当を食べていました。
この公園は今年(2014年)9月・10月にも、放射線量が高い場所(除染対策目標を超えた場所)がある、ということを市民の通報で知った県が、一時的に立ち入り禁止にした場所があるところです。

http://www.pref.chiba.lg.jp/kouen/press/2014/2660926-sokuteikekka.html
http://www.pref.chiba.lg.jp/kouen/press/2014/261105-kanryou.html


また、2012年3月には、集水桝付近が1μSv/h近い場所がみつかり、
土砂の撤去等の除染を行ったこともあります。
http://www.pref.chiba.lg.jp/kouen/press/2011/20120309-zyosenkekka.html

測定を開始した花壇で0.23μSv/hを超えたところはありましたが、
それ以外の場所では、おおむね0.1~0.15μSv/hでした。
(※ただし、すべての場所をくまなく測定したわけではないので、そこ一帯がその数値であるというわけではありません。)
2012年3月には1μSv/h近かったという集水桝の上もいくつか測定しましたが、土砂撤去の効果か、現状では特に数値が大きく上がるということはありませんでした。

茶室のある日本庭園の建物の雨どい下では、この公園内ではもっとも高い数値を出し、0.6μSv/hほどありました。今でも放射性物質は、たまりやすいところに場所を変え、存在しています。

公園の測定を終え、駐車場を出て、柏の葉キャンパス駅方面に走り出すと、車内でも0.15μSv/hを超えました。こどもみらい測定所のある国分寺市あたりだと、だいたい0.05μSv/h~0.1μSv/hを推移しますから、車内でも0.15μSv/hというのは、国分寺市よりもやや高い数値です。

降りて測定はしていないので、はっきりしたことは言えませんが、路肩などは、もう少し数値が上がるのではないかと考えられます。郡山市あたりだと、0.3μSv/hあるところは、路肩はその倍以上の数値(だいたい0.6~1.0μSv/h)になります。川俣町の山木屋地区でも、車内で0.7μSv/hあるところでは、路肩は1.5μSv/hありました。とにかく、車道と、路肩(の土の部分)は放射線量に大きな違いがあることに気を付けてほしいと思います。

枯葉と水の集まる場所は、要注意

次に向かったのは、川沿いの遊歩道です。
子どもたちもよく通る場所だといいます。そこには、写真のような看板もたっていました。

公園もあり、犬の散歩・ランニングをする方もたくさんいます。
芝生の張り替え・表土除染が終わっているせいか、遊歩道の測定値は、だいたい0.1~0.2μSv/hでした。
ただし、局所的に、下の写真のような場所(側溝のごみの近く)は0.6μSv/hと高い数値が出ています。
枯葉と水の集まる場所は、要注意です。
歩きながら、原発事故後の当時のことなど、お話を伺いました。

「うちの子どもたちにはやっぱり、外遊びはできるかぎり控えさせていましたよ。周りにも、そういう家庭は多かったと思います」と話す尾内さん。

子どもが持つ当然の権利である「外遊び」を制限されていた土地は、決して福島県だけではない、ということを改めて思います。
「でも、汚染があることがはっきりして、情報が行きわたったのは、6月くらいでした。それまで、無防備だった人も少なくなかったと思います」

「読売新聞が2011年5月に、『柏や三郷がホットスポットである、というデマがチェーンメールで拡大している』と報道していましたが、その訂正はいつになるんでしょうね・・・

そんな話もしました。
除染の困難な手つかずの場所には、ロープがはられていましたが、そこは、0.3μSv/hほどまであがりました。また、枕木が埋め込まれているところ(木目に浸み込むことがあります)は、ほんの少しだけですが、数値が上がりました。

芝生の上を歩き回って測定しました。

張り替えているので、数値は0.1μSv/h台でした。ただ、局所的ではありますが、ひとつの木の根元の一部だけ、0.3μSv/h近いところがありました。木の根っこで、芝生をうまくはがしきれなかったような跡がありました。
細かい部分に、数値が上がるような場所があることを考えると、除染には「子どもの目線」にたったきめ細やかさが必要であることを、実感します。

川沿いの緑地公園は、尾内さんによると、「遊具が取り替えられた」とのことでした。

柏市に問い合わせしたところ、震災の影響で遊具を交換したというわけではないそうですが、老朽化がすすみ、震災後に交換したとのこと。また、除染として、表土除去、砂場の砂の入れ替えは行った、とのことでした。
多くの場所が0.08~0.15μSv/h、高い場所でも0.3μSv/hという数値に、「除染とウェザリング効果で、以前よりは線量は多少、下がってきているんですね」と話しながら測定を終えようと、何の気なしにセンサーを近づけてみた遊歩道沿いの植え込みで、驚いたことに、1μSv/hを超える一帯が見つかりました

どうやら、除染をしていないようでした。
周辺を測定すると、水の流れがたまる場所の近くで、1.4μSv/hを超えてしまいました。
こちらも、柏市の放射線対策室に電話取材したところ、「植え込みの場所と、川沿いの遊歩道の管轄が市なのか県なのかによって、除染がなされていない場所がある可能性がある」とのこと。子どもも通る道路なので、何とかしてほしい、と伝えたところ、「確認に行って、対応します」とのこと。どう対応してくださるのかは、後日教えてくれることになっています。

関東にもホットスポットは点在しています

柏市の放射線対策室では、月に6~7回、放射線のパトロールを行い、局所的に高いところが見つかれば除去するということを繰り返しているそうです。
ホットスポットが見つかった場合は、知らせてほしい、とも話してくれました。

住民、子どもたちの被ばくを避けるために早急に原因を取り除くことが、「管轄が違う」という理由で滞ってしまうという問題は、早急に解決すべきことですが、今回、電話に出てくださった放射線対策室の担当者によれば「市の管轄の場合はすみやかに取り除き、県の管轄の場合は、県のほうに相談して、除去する手立てを考えます」ということです。

たとえ、芝生を全面張り替えるというような大規模は除染が行われていたとしても、ホットスポットファインダーのような測定器による細やかな測定で、除染のもれがないかをチェックする必要があります。さらに、除染が済んでしばらく経ってからも、数値が再び上がるようなところがないか、チェックする必要があることを改めて実感しました。これは、測定に関わる市民だけではなく、研究者も言っていることでもあります。

今なお、このように、関東にもホットスポットは点在しています。思わぬところにあるということは今回の測定でもわかりましたが、そういったホットスポットを見つけるべく、さまざまな市民測定所が、測定を行い、その数値やマップを公開しています。

「来年子どもが小学生にあがり、通学路の数値がどうなっているのか気になる」「子どもの幼稚園の先生に許可をもらったので測定したい」など、子どもたちの身近な生活空間の測定を希望される声もよく聴きます。どうぞ、お気軽に、測定のご相談をしてみてください。
(文責:吉田千亜)