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2014年12月28日日曜日

「福島県民健康調査と体調に関するアンケート」結果 ~県立医大への不信感が浮き彫りに~

 ご報告がたいへん遅くなりましたが、201478月にかけて、「こどもたちの健康と未来を守るプロジェクト」とママレボ出版局は合同で、福島県に住む保護者(現在、避難中の方も含む)約100人に「福島県民健康調査と体調に関するアンケート」を実施しました。
 下記に、その結果を発表させていただくとともに、調査にご協力いただいた皆さまに、この場を借りて御礼申し上げます。

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■意外と知られていない甲状腺がんのニュース
 
まず、県民健康調査によって見つかっている子どもの甲状腺がんの人数を、福島県民ですら、半数程度しか把握していないことが、アンケート結果によって浮き彫りになりました。


 こうしたアンケートに回答してくださる時点で、ある程度、健康問題に関心が高い層であることを考慮すると、やはり認知度が低いと言わざるをえません。

 情報が伝わっていない原因はなんなのか――。

 甲状腺がんの子どもの人数を、「知っている」と答えた方に対し、「このニュースを、どのようにして知りましたか?」と質問したところ、「新聞から」(20%)、「テレビから」(19%)と答えた方が、いずれも2割程度だったのに比べると、「インターネットから」と答えた方が35%と比較的高く、既存のマスメディアだけ見ている人には、情報が伝わりづらいことが分かりました。



 と、同時に、検査の実施主体である福島県や県立医大側が、積極的な情報発信を怠っているのでは?という問題点も浮かび上がってきます。

 また、このニュースを知っている方で、「悪性ないし、悪性疑い90人」(平成26331日時点)という数字について、「多いと思った」(65%)「やや多いと思った」(11%)を合わせると、76%にものぼり、結果を深刻に受け止めていることが分かりました。




■エコー検査の方法や説明に納得できない人が約7

 さらに問題なのは、福島県立医大によって行われている甲状腺検査の方法に「あまり納得できなかった」(35%)「まったく納得できなかった」(34%)と解答した方が、合わせて7割近くにものぼっている点です。


 その理由としては、「その場で説明がない」(39%)、検査時間が短い(40%)などで、とくに、「検査結果の通知を郵送するだけで、口頭で説明がない」ことに不満を持っている方が92%にものぼるなど、検査態勢が、県民に寄り添ったものになっていないことが浮き彫りになっています。





 また、県民健康調査の在り方に関する要望や意見を自由回答で記入してもらったところ、

「医大だけで対応できないことは理解している。医大の職員のみ、安定ヨウ素剤を飲ませている状況では、穏やかに話を聞きましょうなどとは無理です」

「原発事故の影響を認め、きちんと調査・検査すべき。福島は安全とうたい、県民に刷り込んでいる」

「エコー検査は、その場で説明できるはずだし、してほしい。エコー画像は個人情報なのだから、個人に渡すべきだ。次の検査までの間隔が空きすぎる」

 といった意見のほか、検査で、お子さんがB判定だったという保護者からは、
「医大の医師だけがエコー写真を眺め、結論だけを説明。患者側は唖然となる。今まで子どもは、普通の生活をしていたのに……。寄り添う姿勢がまったくなく、悔しい思いとなった」
などという意見が出ていました。


■血液検査などを含む検査態勢の充実を

 原発事故後の、お子さんや保護者自身の体調変化については、「疲れやすくなった」「咳がよく出るようになった」「視力が急激に落ちた」「心身が出やすくなった」などの回答が多く、また今後、定期的に子どもに受けさせたい、あるいは自分自身も受けたい検査に関しては、「甲状腺エコー検査」(38%/23%)のほか、「血液検査」(33%/26%)「心電図」(16%/16%)などがあがっていました。






 現在、県民健康調査では、原発20キロ圏内の帰還困難区域などに住んでいた方しか、血液検査等の検査が実施されていません。
 また、この方々に対して実施された「平成 23 年度 県民健康管理調査 健康診査 評価」(https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/6456.pdf)という資料の35ページを見ると、「白血球数減少、好中球数減少、リンパ球数減少の割合に、年齢区分や性による大きな偏りはなかった。」と記されており、いずれも正常値より減少していることが指摘されています。
 その後の経過はどうか、また他地域の人たちはどうなのか等は不明のままです。
 血液検査の白血球分画は、被ばくの影響を調べるためには欠かせない項目ですので、実施の検討が急がれます。 

 いずれにせよ、県立医大の対応も含め、現在の県民健康調査の在り方については、県民の意見をしっかりとヒアリングしたうえでの早急な改善が求められています。

 この問題については、まもなく発行予定のママレボ最新号で特集しておりますので、ご期待ください。
 
アンケートの詳細は、下記よりダウンロードしていただけます。


ママレボ@和田秀子



 

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