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2015年4月26日日曜日

「ただ、ふつうの生活をしたいだけ」――応急仮設住宅(みなし仮設)の供与期間について


昨年(2014)年528日、応急仮設住宅(みなし仮設)の供与期間が20163月まで延長されたことが発表されました。今年(2015)年も、5月中の発表を目指している」と関係者への取材で明らかになっています。
現在、福島県と政府とで協議が行われているところです。供与期間が20173月まで延長されるかどうかは、自主避難者にとって、暮らしや人生を左右する大きな問題です。
 実際に、「2016年3月以降もここに住めると思いますか?」という相談が、ここ数日相次いでいます。

このタイミングで、都内に避難している方に対し「都営住宅の申し込みについて」というお知らせが届いています。これは、422日付で発送されたもの。



このお知らせを受け取った多くの方が「とうとう借上住宅(みなし仮設)を追われるのか」という不安を感じたといいます。
この都営住宅への転居は、決して避難者の救済とは言えません。ごく一部の人にとっては、ひとつの選択肢になり得るのかもしれませんが、応急仮設住宅(みなし仮設)の打ち切りともとれるお知らせは、新たな経済負担・生活環境が変わることへの不安を与えるものです。


「ぎりぎりの二重生活(夫は福島県、母子で避難中)をしているので、借上住宅の供与が終了してしまったら、避難生活を続けることができない」(郡山市→新潟県)

「夫が仕事をやめて一緒に避難をはじめた。当時は貯金を切り崩して生活していた。ようやく仕事を見つけたが、それでも収入は半減した。借上住宅があるから何とか生活できている」(郡山市→北海道)

「子どもが、震災後の避難で、突然転校したために円形脱毛症になってしまった。もう二と度と転校させたくない」(いわき市→埼玉県)

「『ここから出て行け』と言われても、行き場がない。それに、せっかく慣れた今の学校を転校させたくない。でも、このあたりで新しく部屋を借りるのは、家賃が高すぎる・・・」(福島市→埼玉県)

 「経済的なことを考えると、借上住宅の終了が、避難生活の終了、と決めていた。とうとう戻ることを考えなくてはならないのか・・・と思うと、不安でならない」(福島市→東京都)

 「来年、子どもが受験を迎える。落ち着いて受験できる環境を作ってあげたいが、借上住宅がどうなるのか分からず、かといって、公営住宅も倍率が高く、八方塞がり」(中通り→北海道)

「ただ、ふつうの生活をしたいだけなのに」(郡山市→新潟県)

そう、もらす避難者もいます。

また、これは自主避難者だけの問題だけでもありません。
たとえば、強制避難を余儀なくされた避難指示区域の避難者の中でも、お年寄りの場合は、応急仮設住宅(みなし仮設)に住み続けたいという方もいます。

「今さら家を買っても仕方がない。かといって、ようやく慣れたいまの生活環境を変えたくない。借上住宅に住み続けられるのであれば、そのまま住み続けたい」

「もう、家を買っても仕方がないと思って、お墓を買った。だから、行く場所があるわけではない」


仮に「お金を払ってもいいからこのまま住み続けたい」と願っても、それが叶わないケースも多く、応急仮設住宅(みなし仮設)の供与の打ち切りは、多くの原発避難者の生活を根底から揺るがすものです。


49日の参議院予算委員会で福島瑞穂議員がみなし仮設について質問をした際、安倍総理は

「政府としてお住まいになられているみなさまの安心にしっかりと沿えるよう、被災自治体と緊密に連携しながら適切に対応していく」

と答えています。



まもなく、延長の決定が発表されるという5月。避難者一人ひとりの生活に思いを巡らせた、誠意ある対応が待たれます。


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毎日新聞が、3月からこの問題を取り上げています。
以下の記事は、応急仮設住宅(みなし仮設)の問題点を、わかりやすく伝えています。






「自主避難者、先行き不安 仮設住宅後、見通せず 1年ごと延長「せめて数年に」」
「みなし仮設は他と違うの?」


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文責/吉田千亜




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